CONTAX RTSlll

発売年月 1990年 9月
マウント: コンタックス/ヤシカMMマウント
内径:48mm、フランジバック:45.5mm
ピント方式: マニュアルフォーカス
視野率 約100%
倍率 0.74倍
シャッター:縦走行メタルフォーカルプレンシャッター
シャッター速度: 32秒~1/8000秒(オート)、B、X(1/125、1/250秒)
4秒~1/8000秒(マニュアル)
電源・電池:単3形乾電池6本、またはリチウム電池(2CR5)1個
大きさ・重量: 幅156×高さ121×奥行き66mm 質量 約1150g(電池別)
とうとう、買ってしまった。
必要あるのかと、自問自答すること数日間・・・。
RTSlllの導入のきっかけとなったのは、1年前に導入したCONTAX NXの存在であった。
NXは確かに便利ではあった。たまにAFが外れるものの、その他に別にこれといった不満はなかった。しかし、趣味として写真を撮る時に、使っていて心躍るものがなかったのである。
心躍るもの・・・それがキーワードである。
フィルムカメラのAF機に私が望むこと-ある程度の画質で、とりあえず写っていれば良い-は、デジタル一眼レフで実現されつつある。それも1年前には考えられなかったほど安価で。2004年9月に開催されるPhotokinaでは、そのような低価格で十分なデジタル一眼レフカメラがさまざまなメーカーから発表されるはずである。私の中では、フィルムカメラのAF一眼レフはその意義と必要性を失ってしまった。
しかし、35mmのフィルムの一眼レフカメラは予備としてあと一台残して置きたかった。
Y/CマウントのMFレンズのAF化をバックフォーカスシステムと言うとんでもない技術で可能にさせたCONTAX AXの導入も考えた。しかし、AXは便利で、面白い機能満載のカメラであることは間違いないのだが、そのシャッター音に心踊るものがなかった・・・。
心躍る・・・。やはり、STのシャッターの切れ味以上の快感を得て、さらに、ST以上の堅牢性を求めるならば、その選択肢はCONTAXのフラッグシップ機 RTSlllをおいて他にないであろう。(笑)
女性的なフォルムを持つSTに対して、RTSlllは非常に男性的な印象を受ける。ダイヤルやグリップなども他の機種と同じようなデザインではあるものの、どことなく直線的な線が残してある。曲線で構成されながらも、その芯となるところには、やさしさではなく、力強さが感じられるものとなっている。
RTSの名を冠する機種はやはり特別なのである。(ホントか?)
究極のフィルム平面性を目指し搭載されたRTV(リアルタイムバキューム)メカニズム、セラミック圧板など直接的には効果はあるんだかどうだか、なかなかわからないような機能から、プレ・フラッシュ測光のようなこんな機能まで必要なのかというようなところにまで、拘り抜いて作り上げた芸術品である。
RTSlllを持つと、心地よい重さと感触が伝わってくる。
そして、その剛性は明らかにSTを凌駕している。その差はRXとSTの剛性感の差以上である。
グリップは大きめで、形状が非常に良くできているため、しっかりと握れる。よほどの大男でもない限り、小指もしっかりとグリップに収まるであろう。
ただし、縦位置で構えるとちょっと持ちにく、ST+P-7の縦位置のレリーズの方が手の収まりが良い気がする。単に慣れの問題なのかもしれないが・・・。
とにかく、流石はフラッグシップと思わせるだけの作りである。
また、ファインダーを覗くと美しいブルーのイルミネーションが迎えてくれる。
視野率は100%でフィルムに写り込む全てを見ることができる。
視野率100%を確保するために犠牲にされたと評判の悪い倍率0.74倍は、私はそれほど気にならない。スクリーンはSTと同様にRTSlllも全面マットに替えてある。
ピントを追っていく時に、多くの場合は点(もっと正確に言えば、スプリットのような一部分の線)ではなく、面でピントを追っていくため気にならないのかもしれない。
とにかく、自分のピントを合わせたい部分が一番綺麗に見えるところでシャッターを押せば良い訳である。その方が迷いがなくて良い。(笑)
しかし、RTSlllを使った後にすぐSTを使うと、倍率0.06の差が思った以上に大きいことを実感する。また、視野率100%と95%の差もかなり大きなものである。RTSlllでは見えるものがSTでは見えない訳であるから。(ちなみにROLLEIFLEX 3.5Fのスクリーンは暗いのとスクリーンが古くてちょっと汚れているのでファインダーが大きいからといって、それが見やすいと言うわけではない。実際、STやRTSlllよりピントを確認するのは遥かに困難である。って、ファインダー替えてやれって・・・。)
ただ、STもRTSlllもファインダーの中の情報の視界性は非常に高く、ファインダーをパッと覗いただけで全て目に入ってくるようになっている。
少し残念なのは最新のN-SYSTEMのように表示内容が洗練されていないことである。露出補正値のスケールなどが表示されれば、もっとすばらしものになったと思う。まあ、露出補正する時は、基本的にはファインダーから目を離し、ダイヤルを操作し確認するので、ファインダーの中には数値を表示する必要はあまりないのかもしれないが・・・。(それと少々古い機種なので、ストロボの接点が少なく、情報の交換量が少ないということが少々気になる点ではある。)
レリーズを切ると、STの風を切り裂くような小気味好い軽快なシャッター音とは異なるボディーブローのような低音の重いシャッター音がする。
STもRTSlllも、このシャッター音を聞くために、レリーズを切りたくなる。
そして官能へと誘うレリーズに優しく触れれば、それは即ち、素晴らしい記憶を切り取ることを意味する。それは、Carl Zeissの眼を持つ当然の帰結である。
ただし、腕とセンスもよければ・・・。
このRTSⅢ、東京の中古カメラ屋を何件も駆けずり回って、非常に程度の良い、美品と言ってよい状態の委託品を思ったより安く購入できた。
「プロでもないのに、フラッグシップ機なんて必要なのか?」という疑問は当然あった。
しかし、歓ぶべきか悲しむべきか、それはよく分からないが、今のRTSlllの中古相場は、あのEOS Kiss Digitalより安い・・・。
そして、「Kiss Digitalより安い。Kiss Digitalより安い。」と何度も唱えて購入した・・・。
満足度は非常に高い。
恐らくは、CONTAXの最後の銀塩カメラのMFフラッグシプ機。
1990年とバブル絶頂期に発表されたが、デジタル全盛の今となっては、何か来たるべき時代を読みきれなかった戦艦大和のような神々しさと悲哀を感じる・・・。まさに銀塩カメラ
時代の最後を飾るに相応しい伝説のカメラである。(何のこっちゃ?)
*********************
RTSⅢの出来の良さとフィーリングの良さのため、予備機として2005.07に追加購入。日本の防湿庫の中で眠っている。

発売年月 1990年 9月
マウント: コンタックス/ヤシカMMマウント
内径:48mm、フランジバック:45.5mm
ピント方式: マニュアルフォーカス
視野率 約100%
倍率 0.74倍
シャッター:縦走行メタルフォーカルプレンシャッター
シャッター速度: 32秒~1/8000秒(オート)、B、X(1/125、1/250秒)
4秒~1/8000秒(マニュアル)
電源・電池:単3形乾電池6本、またはリチウム電池(2CR5)1個
大きさ・重量: 幅156×高さ121×奥行き66mm 質量 約1150g(電池別)
とうとう、買ってしまった。
必要あるのかと、自問自答すること数日間・・・。
RTSlllの導入のきっかけとなったのは、1年前に導入したCONTAX NXの存在であった。
NXは確かに便利ではあった。たまにAFが外れるものの、その他に別にこれといった不満はなかった。しかし、趣味として写真を撮る時に、使っていて心躍るものがなかったのである。
心躍るもの・・・それがキーワードである。
フィルムカメラのAF機に私が望むこと-ある程度の画質で、とりあえず写っていれば良い-は、デジタル一眼レフで実現されつつある。それも1年前には考えられなかったほど安価で。2004年9月に開催されるPhotokinaでは、そのような低価格で十分なデジタル一眼レフカメラがさまざまなメーカーから発表されるはずである。私の中では、フィルムカメラのAF一眼レフはその意義と必要性を失ってしまった。
しかし、35mmのフィルムの一眼レフカメラは予備としてあと一台残して置きたかった。
Y/CマウントのMFレンズのAF化をバックフォーカスシステムと言うとんでもない技術で可能にさせたCONTAX AXの導入も考えた。しかし、AXは便利で、面白い機能満載のカメラであることは間違いないのだが、そのシャッター音に心踊るものがなかった・・・。
心躍る・・・。やはり、STのシャッターの切れ味以上の快感を得て、さらに、ST以上の堅牢性を求めるならば、その選択肢はCONTAXのフラッグシップ機 RTSlllをおいて他にないであろう。(笑)
女性的なフォルムを持つSTに対して、RTSlllは非常に男性的な印象を受ける。ダイヤルやグリップなども他の機種と同じようなデザインではあるものの、どことなく直線的な線が残してある。曲線で構成されながらも、その芯となるところには、やさしさではなく、力強さが感じられるものとなっている。
RTSの名を冠する機種はやはり特別なのである。(ホントか?)
究極のフィルム平面性を目指し搭載されたRTV(リアルタイムバキューム)メカニズム、セラミック圧板など直接的には効果はあるんだかどうだか、なかなかわからないような機能から、プレ・フラッシュ測光のようなこんな機能まで必要なのかというようなところにまで、拘り抜いて作り上げた芸術品である。
RTSlllを持つと、心地よい重さと感触が伝わってくる。
そして、その剛性は明らかにSTを凌駕している。その差はRXとSTの剛性感の差以上である。
グリップは大きめで、形状が非常に良くできているため、しっかりと握れる。よほどの大男でもない限り、小指もしっかりとグリップに収まるであろう。
ただし、縦位置で構えるとちょっと持ちにく、ST+P-7の縦位置のレリーズの方が手の収まりが良い気がする。単に慣れの問題なのかもしれないが・・・。
とにかく、流石はフラッグシップと思わせるだけの作りである。
また、ファインダーを覗くと美しいブルーのイルミネーションが迎えてくれる。
視野率は100%でフィルムに写り込む全てを見ることができる。
視野率100%を確保するために犠牲にされたと評判の悪い倍率0.74倍は、私はそれほど気にならない。スクリーンはSTと同様にRTSlllも全面マットに替えてある。
ピントを追っていく時に、多くの場合は点(もっと正確に言えば、スプリットのような一部分の線)ではなく、面でピントを追っていくため気にならないのかもしれない。
とにかく、自分のピントを合わせたい部分が一番綺麗に見えるところでシャッターを押せば良い訳である。その方が迷いがなくて良い。(笑)
しかし、RTSlllを使った後にすぐSTを使うと、倍率0.06の差が思った以上に大きいことを実感する。また、視野率100%と95%の差もかなり大きなものである。RTSlllでは見えるものがSTでは見えない訳であるから。(ちなみにROLLEIFLEX 3.5Fのスクリーンは暗いのとスクリーンが古くてちょっと汚れているのでファインダーが大きいからといって、それが見やすいと言うわけではない。実際、STやRTSlllよりピントを確認するのは遥かに困難である。って、ファインダー替えてやれって・・・。)
ただ、STもRTSlllもファインダーの中の情報の視界性は非常に高く、ファインダーをパッと覗いただけで全て目に入ってくるようになっている。
少し残念なのは最新のN-SYSTEMのように表示内容が洗練されていないことである。露出補正値のスケールなどが表示されれば、もっとすばらしものになったと思う。まあ、露出補正する時は、基本的にはファインダーから目を離し、ダイヤルを操作し確認するので、ファインダーの中には数値を表示する必要はあまりないのかもしれないが・・・。(それと少々古い機種なので、ストロボの接点が少なく、情報の交換量が少ないということが少々気になる点ではある。)
レリーズを切ると、STの風を切り裂くような小気味好い軽快なシャッター音とは異なるボディーブローのような低音の重いシャッター音がする。
STもRTSlllも、このシャッター音を聞くために、レリーズを切りたくなる。
そして官能へと誘うレリーズに優しく触れれば、それは即ち、素晴らしい記憶を切り取ることを意味する。それは、Carl Zeissの眼を持つ当然の帰結である。
ただし、腕とセンスもよければ・・・。
このRTSⅢ、東京の中古カメラ屋を何件も駆けずり回って、非常に程度の良い、美品と言ってよい状態の委託品を思ったより安く購入できた。
「プロでもないのに、フラッグシップ機なんて必要なのか?」という疑問は当然あった。
しかし、歓ぶべきか悲しむべきか、それはよく分からないが、今のRTSlllの中古相場は、あのEOS Kiss Digitalより安い・・・。
そして、「Kiss Digitalより安い。Kiss Digitalより安い。」と何度も唱えて購入した・・・。
満足度は非常に高い。
恐らくは、CONTAXの最後の銀塩カメラのMFフラッグシプ機。
1990年とバブル絶頂期に発表されたが、デジタル全盛の今となっては、何か来たるべき時代を読みきれなかった戦艦大和のような神々しさと悲哀を感じる・・・。まさに銀塩カメラ
時代の最後を飾るに相応しい伝説のカメラである。(何のこっちゃ?)
*********************
RTSⅢの出来の良さとフィーリングの良さのため、予備機として2005.07に追加購入。日本の防湿庫の中で眠っている。